製薬企業で研究職につくデメリット|理学博士でも大丈夫?

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博士の就活といえば、やはり一番人気は研究職でしょう。また、本ブログを読んで下さっている理系のあなたも研究職に就きたい!しかも薬を作りたい!という方は多いのではないでしょうか?しかし、本当にそれでいいのでしょうか?最もネガティブな視点から製薬会社を見てみましょう。

研究職の人気は高いが。。。

実感として、僕の周りを見ると研究職8割、SE1割、営業1割という感じでした。博士だとその割合はさらに増え、全員研究職に就きました。(n数は少ないですが)

実際はどうなのかと文科省の統計を見てみると、やはり研究職の割合は高く、理系=研究という考えは普遍的なようです。特に、会社を真面目に探さず1就活を始めたなら、まずは製薬と言う安易な発想でエントリーしがちな業種です。

僕なら、まず人気という時点で避けます。戦うだけ時間の無駄だからです。もっと自分のことを高く評価してくれる、受かりそうな会社を探すことに時間を使いましょう。

他人がやりたがることに価値はない

例えば、バイオ系博士の方は製薬会社の研究職というのは、1つの”勝ち組”なポストでは無いでしょうか?しかし、実際に製薬業界に入った友人から聞いた話では、「博士が普通で、周りに対して何の優位性もない」とのことでした。むしろ修士より多いそうです。2

しかもその中の過半数は、純粋培養の東大生・京大生です。その中で、プレゼンスを発揮するというのは、至難の技でしょう。

研究室配属のところでも話しましたが、結局いいテーマ・いい仕事・というのは、将来性が、客観的に見て最も高そうな人間に任せることになります。よって周りが博士ばかりの研究所で力を発揮するには、入社以前にどれだけ他者に対して圧倒的な業績を残せているかで決まります。もしそれがない場合は、コネ・学閥がものをいいます。

もちろん、入社後に与えられたテーマをきっちりとこなして業績を出し、なおかつ独自のテーマを立ち上げるなんて言うスーパーマン的な働きができる場合もありますが。。

もし、博士の人間がたくさんいる職場に就職するなら、競争は激しいと言うことを肝に命じておきましょう。

生き残り戦略15:
博士の数が少ない会社を選ぶ
※但し、0人とかになるとそもそも博士を求めていないと言う場合もあるので注意!

研究テーマは自分で選べない

それでも僕は・私は優秀だから大丈夫だ。製薬企業で勝ち抜いてやると思うあなた、会社の研究に夢をみてはいけません。研究テーマは上が決めます。ええ、分かっています。もちろん人事の方は美辞麗句を並べ立て、あなたの専門性を生かして、テーマを考えて研究を進めて下さいと言ってきます。しかし、そんな甘い言葉に騙されてはいけません。

もちろん、テーマを出すことは求められますし3、自主研究とか言ってエフォートを1−2割やりたい研究に割いていいなんて制度もどこもあります。

しかし、本質的には、上がいうがままなのです。例えば、ある研究がうまくいきそうで、開発のペースを早めたいという状況が起きたとしましょう。その場合どうなるかと言うと、生産性のないテーマをやっている人員がその研究をストップさせられて、やったこともない他人の研究の手伝いをさせられます。

そもそも、研究を続けられるならまだしも、研究所閉鎖でクビなんてことが平気で起こります。それで就活を苦労したという話を上の先輩から聞きました。4

研究の進め方について、アカデミアと大きく違うと言うことがご理解いただけましたか?

そもそも、研究テーマが当たらない

それでもまだやるというあなた、薬を作るというのが、いかに難しいかご存知ですか?大分改善してきたとはいうものの、1つのシーズから薬として認証される割合は数万分の1だと言われています。要は、大抵の人間は薬を作る研究をしても、結局何の役にも立たず、徒労に終わるという経験をします。

外に出てきてセミナーなどをしている人間は、その何万分の1を勝ち抜いたスーパーな人たちです。そこを目指すという心意気はいいですが、本当に運次第ですよ。

めちゃくちゃリスキーな業種ということを理解しているか

製薬会社=給料高い=安定というイメージがあるかもしれませんが、とんでもありません。製薬というのは、かなり博打な商売です。というのも、前項でお話しした通り、なかなか研究が当たりません。そして、研究開発にかかる時間は15年と言われています。5


実際、製薬会社の株価の利回りは高いです。つまり、リスクが高いとみなされているということです。ということは、現在の治験の進具合によって、10年先の会社の状況が決まるということです。もし現行の治験がダメなら、かなり危機的な状況であると言えます。

しかし、製薬会社はリスクを回避する方法をとっている

もちろんそのようなリスクを手をこまねいて待っている訳ではありません。倒産を避けるために製薬会社がすることは、企業の買収です。


特に、良さげなシーズを持っているベンチャー企業を買い、そのシーズをもとにスクリーニングをかけ、治験を行い、販売するということをします。要は、研究ではなく、ほぼ開発メインで、今後この傾向はますます強まっていくでしょう。リスクの大きい部分はベンチャーが負い、大手製薬会社は治験と販売を行うという形です。

本当に薬を作りたいなら、大学で研究をするか、ベンチャー企業に入った方がいいでしょう。

理学部でも製薬会社に入れるの?

ここまで色々述べてきましたが、本題に戻りましょう。理学部で基礎研究をしていて、製薬会社になんて入れるのでしょうか?

ズバリ、理学部でも何の問題もありません。僕が最もお伝えしたかった事は、博士号は研究の専門性だけで見られるのではなく、トランスファラブル・スキルが重要であるという事です。大手製薬会社の人事部長に聞いた話なので、信用できると思います。

なぜ理学部でもいいのかというと、前述の通りテーマはコロコロ変わりますし、その中でも効率よく研究を進めていかなければなりません。そのような状況では、今日役に立つあなたの専門性は5年後10年後一切必要なくなるかもしれません。よって、人材を採る時に、専門性はそこまで考慮せず、如何に学んだことを他に活かすことができるかが重要なのです。6

まとめ

いかがでしたか?大手製薬会社に幻想を抱いてはいけないということを理解して頂けましたか?それでもやはり薬を作って病気を治すというのは、バイオ研究の社会貢献の形としては夢がありますよね。

入るなら、リスクを十分理解した上で、それでも薬を作ってやる!という強い気持ちを持って戦いを挑んでくださいね。

  1. と言うか、忙しくて探している暇もないと言う方も多いことかと思います。かく言う僕もその1人でした。
  2. 修士で製薬で研究職というのはとても肩身が狭いので、あまりお勧めできませんね。
  3. 毎月、研究テーマの提案を従業員に課すという会社もあるようです。
  4. 一時期、製薬会社の統廃合により、国内の研究拠点がいくつも閉鎖になったのです。その結果どうなったか?似たスペックを持つ人材が転職市場に溢れかえるという目も当てられない事態が起きたそうです。まあそれでも何だかんだ生き残れるのですが。。
  5. 短くしていくということではありますが。
  6. もちろん専門性を考慮した人選というのも、何人かはします。しかし、だからと言って理学部はダメという訳ではありません。むしろ理学部生の研究能力の高さは評価してもらえます。

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