こんにちは。JON@u_rigakubuです。
閲覧ありがとうございます!
当ブログでは実験のコツなどお話してきました。
上記の記事でも基本的な考え方は取り上げたので、まだの方はぜひ一度目を通してみてください。今回は改めて制限酵素処理に焦点を当て、コツをまとめました。制限酵素に限らず、”ピペットで液を混ぜる”という初歩的な実験操作を確実に成功させるための共通のコツです。
微小な液体を混ぜるのはバイオ研究の基本中の基本
バイオ研究の多くは、細胞内の出来事を研究することが多いです。よって、マイクロリットル単位の微量な液体を混合するというのは、あらゆる実験操作の基礎になる大変重要な技術です。
多少いいのでは?と思うかもしれませんが、マイクロリットルという単位を考えると、(人間にとって)多少の誤差が実験に大きな差を及ぼしかねません。
よって、正しく液を混ぜるというのは、バイオ研究とは切っても切れない大切な基礎技術になります。適当にやっていてはいけません。正しいやり方というのを1度見直して頂ければ幸いです。
制限酵素処理の原則1:ピペットマン操作の3原則を守る
とにかく、入れ間違いや、液が入っていないという理由での失敗は絶対にやってはいけません。遺伝子操作実験は色々な原因で失敗しうるので、基本的な操作はマスターしておかなければ話になりません。
原則1: 液を吸う前、チップはきれいか確認(ちゃんと交換したか?先が机など、辺な所に触れていないか?)
原則2:液を吸った後、チップの先に空気が入っていないか確認
原則3:液を出した後、チップの先に液は残っていないか確認
実験を失敗しない為の7つのコツより
とにかく、チップの先から片時たりとも目を離さないようにしましょう。
制限酵素処理の原則2:正しい量を入れたかをピペットの設定以外でも確認する
また、チップには目盛りが付いているのに気が付いていました?その目盛りを使って、吸った液の量が大まかに正しいか、毎回確認しましょう。
チップのメーカーにより、多少ずれますが、P200のチップだと、20, 50, 150 μlの順に目盛りがうってあることが多いです。事前に自分のいつも使う目盛りがいくつか確認しておきましょう。
また、エッペンにも目盛りがありますし、くびれているところで100μlなど、ある程度量の目安をつけることができます。ピペットで設定した目盛り以外の手法で、正しい量が測れているか、毎回確認しましょう。
制限酵素処理の原則3:実験操作にミスがない仕組みづくりをする
繰り返しますが、とにかく液を入れ間違えたら失敗します。にも関わらず、液が正しく入っているかどうかわからないのです。
よって、液を吸う度に、吸う元と入れる先はあっているか?という確認を怠ってはなりません。そして、モノを事前に並べておくなど、
基本的には無色透明の液を混ぜるという作業なので、入れたか入れていないかは後からは分かりません。正しいところから液を取れているか、実験を失敗しない為の7つのコツを確認しながら、失敗しない仕組みを作りましょう。
バイオ実験は失敗する原因はいくらでもある
今回あげたのは、成功するために必ず守らなければならない基礎です。これを守らなければ、話になりません。なぜなら、いくらでも失敗するからです。例えば、これまでに経験した失敗の原因と思われる例をあげます。
- インキュベーターが壊れていて、37度ではなかった
- プラスミドの純度が低すぎた
- 酵素が古く失活していた
- DNAを入れすぎていて切残りが発生した
またPCRをはじめ、プライマーや抗体を使う実験をすると、さらに別の要因が加わります。
- プライマー設計のミス
- 抗体設計のミス
- 予期せぬ非特異的な結合がおきた
- 最適な条件ではなかった(PCRのMg濃度やTmなど)
また、「何度やっても原因不明でうまくいかない」なんてこともざらにあります。よって、緩衝液などの試薬の入れ忘れ、正しい量が取れていないといった基本的なミスは絶対にしないようにしましょう。
おまけ:基礎的知識の為のリンク集
実験に用いる全ての装置、試薬に関して、きちんと元の説明書などを読み、正しい理解を身につけましょう。
ピペットマンを正しく使えないと話になりません。ピペットマンの記事はこちら
他、
Double-Digestion
(Takara)http://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/double_digestion.pdf
(NEB)https://nebcloner.neb.com/#!/redigest
16時間反応での完全分解に必要な酵素量
http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100002664
Universal Buffer・Basal Bufferによる制限酵素活性表示システムhttp://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100003048
コンパチの確認
http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100003629
まとめ
微量の液を正確に移すという制限酵素処理は、全ての実験に通ずる、基本的な実験操作です。今回の情報を元に、ぜひ100%操作は間違っていないと言える仕組みを作って習慣化してください。
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