知っているようで知らないピペットマンの使い方

研究
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我々バイオ系の研究者は”ピペット奴隷”と呼ばれるという話を以前しました。

今回の記事は、どうせ奴隷と言われるなら模範的な奴隷になろうという記事です。たかがピペット、されどピペットです。プロ用の精密な実験器具だけあって、意外と奥が深いですよ

マイクロピペットといえばピペットマン!

マイクロピペットといえば、ピペットマンが有名ですよね。僕は断然ピペットマン派ですね。1今でこそいくつかの会社から発売されていますが、はじめに作ったのがギルソン社で、その商標がピペットマンです。

マイクロピペットはWisconsin invention社が開発した製品で、発明者はWarren Gilsonおよびウィスコンシン大マディソン校の生化学教授である、Henry Lardyである.

Wikipediaより

今回はピペットマンについての記事なので、他社製品には当てはまらない部分もあるかもしれません。

ちなみに、日本人特に女性には少し大きすぎて、使いにくいという声も聞きます。2そのような方は、日本のニチリョーのものが使いやすくていいと思います。めちゃくちゃ軽くてびっくりしましたよ!

分注器・ピペットの製造・販売 ニチリョー
分注器、マイクロピペット、ピペット、送液ポンプ、ディスペンサ、自動分注システムなどは医療理化学分野の検査実験等で使用される機器になります。このサイトは、ピペット、送液ポンプ、ディスペンサ、自動分注システムなどを製造・販売している、株式会社ニチリョー(NICHIRYO)のホームページです。

ピペットマンのユーザーガイド

意外と読まれていない気がするので、リンクを載せておきます。以下に紹介する内容も、多くはこの取説に書いてあったりします。
https://www.gilson.com/pub/static/frontend/Gilson/customtheme/en_US/images/docs/PIPETMANCLASSIC_UG_LT801120-F.pdf

本当に初心者の方は以下の日本語の説明が分かりやすかったです。
http://www.sci.keio.ac.jp/gp/FE14F344/44E75A78/81B75007.pdf

意外と知らないピペットマンの使い方

目盛りの設定で回していいのは2箇所ある(レア度☆)

気が付いているかとは思いますが、ネジ部分で回すのかと思いきや、ボタンの部分も回せます。2箇所ありますが、これはどちらも回していいです。

ボタン部分は早く回しやすいのと、グローブをつけていても回しやすいそうです。ネジの部分はより正確に合わせやすいとのことでした。

ユーザーガイドP.6より

目盛りの設定は1/3回転行き過ぎてから戻す(レア度☆)

これも結構有名ですよね?正確に量を計り取るなら、必要量よりオーバーさせてから戻すという作業をする必要があります。オーバーする量は1/3回転分以上が正しいです。

上部ボタンの表記を見なくても、見分けられる(レア度☆)

P20とP200とか、よく手に取ってから上部のラベルを見て、違った!となっている人がいます。しかし、あれは横から見てもどれがどれか分かります。

ヒントはチップホルダーの太さと、チップホルダーとイジェクターの位置関係です。

ギルソン(GILSON) ピペットマン P-1000 F123602 1本 1-6855-06 (直送品)
アスクルHPより

液を吸うのに正しい位置と時間はピペットにより異なる(レア度☆☆)

底から液を吸ったり、素早く上げ過ぎたりしてはダメなのはご存知かと思うのですが、実はピペットのサイズによりどの深度で何秒吸うのが正解か決まっています。

ユーザーガイドP.9より

P2とP10の先端のアダプターは向きを変えると刺さるチップが変わる(レア度☆☆)

P2、10にもP200用のチップを刺すことができます。その為には、この先端のアダプターの向きを変える必要があります。あるいは、邪魔ならアダプターを外してしまってもいいでしょう。

ユーザーガイドP.7より

クリップにちょうど立てられる

机にクリップをつけると、ちょうどいい感じのホルダーになります。貧乏なラボでなければ、ちゃんとしたスタンドを買うと思うのですが、余裕がない方はぜひ試してみてください。

ネットで買うとセット販売で高いですが、生協とかだと1個数百円で買えますよ!

Bitly

長期保存するには、最大値まで戻す方がピペットに優しい(レア度☆☆☆)

昔所属していた研究室で教わったのですが、内部のバネを痛めない為に、長期間使わない時には最大値に戻した方がいいとのことでした。

ソースは薄いのですが、バイオフォーラムで議題に上がっており、ギルソンからの回答が以下のように、数日程度なら良いが、長い場合はバネを緩ませておけとのことだそうです。

Thank you for contacting Gilson with your question. If you are only storing your pipettes for a short time (overnight or the weekend) you do not need to relax the springs by setting the pipette to the nominal (max volume). If the pipettes will be stored for an extended time you can relax the pipette springs to ensure the life of the pipette. You will also want to store the pipettes in an upright position from a stand or holder if possible when not in use. 

バイオフォーラム「ピペットマン使用後の取扱い」より

実は2段階目まで押して液を吸うという方法もある(レア度☆☆☆)

通常やっている使い方は、「フォワード法」と呼ばれる2段階目まで吸う方法ですよね?それ以外にも、2段階目まで押して吸う「リーバース法」など、いくつか異なる吸い方があるそうです。3

知らないの?とバカにされないための正しいピペッティング操作とテクニック | Learning at the Bench
リキッドハンドリングを精度よく行うためには、正しいピペッティング操作が重要です。不適切な取扱いはピペットの不具合や故障の原因となることもあります。今回は、正しいピペッティング操作とテクニックをご紹介します。

詳しいデータを取って議論しているこちらの記事も面白かったです。

https://www.aandd.co.jp/adhome/pdf/tech_doc/analytical/pipette_guide.pdf

目盛りを最大を超えて回し続けると壊れる(レア度☆☆☆☆☆)

初めてピペットマンを触った時の純粋な気持ちで、「目盛りを回して行けばゼロに戻るんじゃね?」と思って、最大値を超えて回した勇者がいました。

その結果、、、

壊れました。そして先輩に殴られました。ネジが伸び切ってしまうんですね。やめておきましょうね。

まとめ

意外と知っているようで知らないということも多かったのではないでしょうか?細かいところにも詳しくなることで、なんとなく実験のクオリティも変わってくると思うのです。今回載せられなかった情報もあるので、この期にぜひ一度ピペットマンについて学び直してはいかがでしょうか?

逆に、こんなことは常識では?と思われているかもしれませんが、それは理学部的発想ですね。理学部では、「使う機器の説明書は読め」と教わります。そして、機器の原理や説明が本当か考えろとさえ言われます。しかし、他のところでは「使えればいいや」的な考えで適当にやっているところも多いですよ!

だから理学部はいいよといういつものオチでした。

今回学んだピペットマンの使い方は、是非後輩に教えてあげてくださいね!

そしてさらに実験を上手くなるには、以下の記事もオススメです!

ここまで読んで下さってありがとうございました!

  1. 使いやすいかは疑問なのですが、行く先々で使われており慣れてしまいました。苦笑 一応修理がしやすく、正確だと言われています。
  2. 欧米の男性研究者をメインターゲットとして作られたためなのでしょうか?
  3. 僕は使ったことありません。。

コメント

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